生きるということは、それに伴う悩みと向き合っていくということと同義だと思う。
残念ながら、働けないとか、学校に行けないとか、そういった人間は多くの場合社会的には落伍者として扱われるらしい。
この「生きるススメ」では、そんな悩みと向き合うさまざま人々を、真正面から描いている。
肉を食べるという行為は、ほかの生きものを殺すことだという真理に気づいてしまった子供。自分の仕事に何の意味があるのだろうかわからなくなってしまった大人。こうあろうとするのに、なれない。
だから、キャラクタたちは苦悩する。それはどうして問題なのか。どうすれば、解決できるのか。
だが、その答えは作中で明かされない。
読者にも、わからないままだ。それはきっと、理由も正解もないからだ。
ただ、ヒントは示される。
描かれる苦悩は、けして他人ごとではなく、僕らのすぐそばにあるものと同じものであるはずなのだ。
そうして示される指針はきっと、生きるためにとても役に立つ。